346032415 G-CB9QBVE37D 【お召し列車を運転するときの規則+経験談】鉄道会社の裏側を現役運転士がマニアック解説!|Kojimatome
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【お召し列車を運転するときの規則+経験談】鉄道会社の裏側を現役運転士がマニアック解説!

koji
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  • お召し列車を運転するときの規則は?
  • だれが運転するの?

会社の資料をあさっていたら、お召し列車に関する規則を見つけました。先輩から聞いた話などを参考に、お召し列車に関する知識を紹介します!

こじま
こじま
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30代会社員。ストレス爆発して降職。0歳児と夫婦関係に苦戦。実際に自分でつかったものを紹介します。悪いやつではありません。

記事内容
  • お召し列車を運転するときの規則
  • 先輩運転士の経験談

この記事を読むことで、お召し列車を運転するときに、鉄道会社がどんなことをしているかわかります。現役運転士が解説するので、マニアックな内容になってます!

公開できない内容もある

平社員に公開されている規則なので、たいした内容ではありませんが、会社の規則を公開したら情報漏洩になり処分されます。天皇に関するものであればなおさらです。

そのためこの記事では、すでに公開されている内容に、先輩からの経験談をプラスしてお伝えします。現役運転士目線の解説を楽しんでいただければさいわいです。

会社の規則では、次のような最高敬語が使われています。この記事では、わかりやすくするために一般的な言葉で解説します。

鉄道における最高敬語の例
  • 御乗車
  • 御到着
  • 御先行
  • 御先導
  • 御通過
  • 御乗用列車

皇太子殿下・皇太子妃の呼称は天皇で統一します。

お召し列車を運転するときの規則

天皇が鉄道を利用するとなれば、鉄道会社は大騒ぎです。車両や人員の手配を完璧に計画しなくてはいけません。

まずは、お召し列車についてかんたんに説明します。

お召し列車(御召し列車)とは

天皇が乗車する列車を最高敬語にすると、「天皇がお召される列車=お召し列車」になります。

天皇以外の皇族が乗る列車は御乗用列車といいます。

よく見るのは、JRの茶色のお召し列車ですね。

どういうものか知らなくても、近寄りがたい雰囲気が伝わってくる列車です。

ちなみに、茶色ではなく溜色(ためいろ)といい、皇室の象徴的な色になっています。漆(うるし)を塗り重ねる溜め塗り(ためぬり)が由来です。剣道の胴着も溜色です。

天皇はJRの在来線や新幹線に乗ることが多いですが、私鉄に乗ることもあります。

近鉄は伊勢神宮のお膝元なので、お召し列車の運転本数は私鉄でトップです。

東武鉄道、西武鉄道、秩父鉄道、ニューシャトル、つくばエクスプレス、わたらせ渓谷鉄道などもお召し列車を運転したことがあります。

お召し列車に乗車する乗務員、職員

お召し列車を担当する乗務員は、運転や放送がうまいだけで選ばれることはなく、役職のついた、信頼されているベテラン乗務員が選ばれます。

おそらく、乗務員やその家族に対して身辺調査があるはずです。乗務員は車両のプロフェッショナルでもあるので、やろうと思えばなんでもできてしまうのです。

そういったことを防止するためにも、運転席には複数の職員を乗車させます。運転士のほかには、運転士が所属する乗務区・所の上司や上長、運輸部のトップなどが乗車します。

客室には社長が乗車します。

鉄道会社のトップが乗車しないと、天皇に対して失礼になります。

ほかにも、車両故障などのトラブルに対応できるように、各部署のエキスパートが乗車しています。

お召し列車の運転は秒単位で指定される

通常の運行ダイヤも秒単位ですが、実際に運転するときはそこまで意識しません。

しかし、お召し列車を運転する場合は、警護や先の予定、他の列車との間隔もあるので、ズレなく運転しなくてはいけません。

指定される運転の例
  • 〇時〇分〇秒に〇〇駅を通過する
  • 〇時〇分〇秒に〇〇踏切を通過する
  • ブレーキはここから、この強さで
  • 加速は3ノッチで50km/hまで
    (※ノッチはアクセルのこと)

運転士ひとりだけではすべての指示を覚えきれないので、複数の職員と確認しながら運転します。

最高の乗り心地で運転する

定時運転のことも考えると、乗り心地だけ優先することはできませんが、お召し列車は別です。

とにかく揺れや衝動がないように、ノッチ・ブレーキの操作に気をつけます。

衝動を無くすため、回生ブレーキを切って運転する会社もあります。

鉄メモ:回生ブレーキ制御CB「切」

お金をかけない会社や地方の路線では、架線電圧が不安定なので回生ブレーキではブレーキがガックンガックンすることが多い。

制輪子だけのブレーキにすれば、架線電圧の影響を受けずに安定したブレーキをかけることができる。

制輪子のブレーキは、自転車のブレーキと同じ。ブレーキパッドを車輪に押し当てるだけの構造である。

ほかにも、曲線を最高速度で運転すると、遠心力や傾斜で乗り心地が悪くなってしまいます。80km/h制限の曲線であれば、65km/hなど速度を落として運転したりします。

ポイント(分岐器)も同様に速度を下げて運転します。

直線も最高速度では走りません。何かあったときすぐに止まれるように、通常より速度を落として運転します。

レール、車輪を削って乗り心地を良くする

電車に乗っていると床下から「キーキー」と高い音が聞こえてくることがあります。あれは車輪とレールが削れている音です。

  • 曲線やポイントで同じ場所だけ削れる
  • 雨、雪、油で空転・滑走して削れる
鉄メモ:フラットができる

車輪やレールが削れることを「フラットができる」という。なめらかだったものがフラット(平坦)になることが語源。

フラットができると「ダッダッダッダッダッ!」と振動や騒音が発生して乗り心地が悪くなる。

ちなみに、「ガタンゴトン」はレールの継ぎ目から聞こえるジョイント音である。

均等に削れることはないので、車輪やレールがいびつ(フラット)になり、乗り心地が悪くなってしまいます。

そこで、いびつな車輪やレールを削りなめらかにすることで、乗り心地を良くすることができます。

しかし、車輪もレールも削れる範囲は限られています。たくさん削るとそれだけ消耗が早くなり、交換の費用も増えてしまいます。

そのため、鉄道会社は車輪やレールを削ることを嫌がりますが、お召し列車のときは別です。会社の技術力を最大限に発揮して、最高の乗り心地を提供します。

良い運転をしても車両やレール設備がポンコツでは意味がありません。縁の下の力持ちに感謝です。

運転整理はお召し列車を優先

トラブルが発生したときは、お召し列車を優先に運転整理をします。

警護や先の予定もあるので仕方ないですね。

鉄メモ:運転整理とは

運転整理は事故や遅延が発生したときに、通常運転にもどすための運行指示のこと。

  • 終点まで行かずに途中駅で折り返す
  • 行き先や種別の変更
  • 特急を先に通過させる
  • 後続の列車に割り当て、など

停止位置の行き過ぎ防止

電車の停止位置を数cm単位で調整することは、それほどむずかしくありません。

しかし、停止位置を間違えることはしょっちゅうあります。

例えば、10両なのに15両の停止位置に止まってしまったり、特急の停止位置に止まってしまったりということがよくあります。

お召し列車の場合は、到着駅でゲートを用意したり、警護や参列者の配置の都合があるので、絶対に停止位置を間違えてはいけません。

通常の停止位置だけではなく、目印を持った職員をホームに立たせたりします。

お召し列車と並行して走ってはいけない

お召し列車と並走してはいけません。

失礼にあたるのと、警護が理由です。

お召し列車と並走すると、天皇と同じ身分の者がいることになってしまいます。天皇の視界をさえぎるのも問題です。

お召し列車を追い越すなんてもってのほかです。接近する列車に対しては「その駅で停止してください」などと輸送司令から指示があります。

お召し列車の上を走ってはいけない

十字に交差する線路などで、お召し列車が下の線路を走行しているとき、上の線路を走ってはいけません。

天皇より高い身分がいることになってしまいます。

お召し列車の正面に止めてはいけない

お召し列車が停止していて、後から他の列車が進入する場合、後から来た列車をお召し列車の正面に止めてはいけません。

天皇と同じ立場の者が後から来るということになってしまいます。

天皇が偉いからという考えではなく、国民の象徴である天皇はそれに応じた振る舞いが必要です。周囲も天皇を崇め奉らなければいけません。

跨線橋や踏切の監視

跨線橋(線路や駅の上にある橋)や踏切に監視員を配置します。

飛び込みや列車妨害を防止するためです。

同時進入進出の禁止

停止位置を行き過ぎたとき、衝突するおそれがあるときは、同時に進入進出させてはいけません。

車両の防犯改造

窓ガラスを防弾仕様に改造します。

JRはお召し列車専用の車両がありますが、私鉄には専用のお召し列車がありません。

普段運転している車両を防犯用に改造しなければいけません。

予備車両の用意

トラブルが発生した場合の予備車両を用意します。もちろん防犯改造した車両です。

お召し列車のすぐ後ろを予備車両が走行したり、途中駅に止めておくことで、すぐに車両交換をすることができます。

天皇との物理的距離

天皇と、参列者、報道陣、鉄道職員との物理的距離が決められています。

〇m以上近づいてはいけない、〇歩先を先導するなど細かく決まっています。

緊急時を除き、先導している者が天皇に振り向くことも禁止されています。天皇を見下す行為になってしまうからです。

まとめ

この記事では、お召し列車を運転する際の規則について解説しました。

機密事項もあるため、一般的に公開されている情報に、先輩運転士の経験談を加えた内容になっています。

列車の運転にトラブルは付きものです。お召し列車だとしても、緊急事態であれば非常ブレーキで止まらなくてはいけません。

お召し列車の運転は鉄道会社側にも大変なことがあります。それでも、天皇が利用した鉄道会社となれば世間からの注目や、地域からの信頼が上がるし、鉄道会社の歴史にも刻まれます。

お召し列車が運転されるときは、鉄道会社の裏側にも注目していただければうれしいです!

ありがとうございました!

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