【ドローン事故から学ぶ】平成30年度無人航空機に係る事故トラブル等の一覧(国土交通省)
- ドローンの事故を知りたい
- ドローンは墜落するの?
ドローンの事故やトラブルは国土交通省に報告されています。先輩たちが残してくれたメッセージをムダにしてはいけません。
- ドローンの事故・トラブルを紹介(国土交通省に報告のあったもの)
- 事例から学べることを考察
- ドローン初心者
- ドローンの怖さをまだ知らない
平成30年度(2018)無人航空機に係る事故トラブル等の一覧から紹介
ドローンの事故やインシデントを発生させたときは、国土交通省に報告しなくてはいけません。
事故が発生するおそれのある状態のこと
平成年度の報告件数は79件ですが、実際に報告しているのはごく一部でしょう。
- 一部の優良企業
- 報告せざるを得なかった事故
- 心から後悔している
この記事では報告書の中から、怖い…驚いた…そんなことある?といった事例を紹介します。
※無人航空機には飛行機やヘリコプターも含まれます。ドローンと同じ無人航空機として参考にしてください。
資料:平成30年度 無人航空機に係る事故等の一覧(国土交通省に報告のあったもの)
No.4 離陸時に突風で横転、右足に裂傷
マルチコプター、プロペラ除く直径約0.9m、最大離陸重量約27kg
- 農薬散布のため無人航空機を飛行させていたところ、離陸時に突風に煽られ機体が横転し飛行させる者に接触した。飛行させる者は右足膝に裂傷を負った。
- 本件事案による第三者の物件の被害はなかった。
なお、操縦者の操縦経験は10時間以上。
【原因分析】
離陸時の予期しない突風に対応できず機体が姿勢を崩したものと考えられる。
【是正措置】
気象状態を常に把握し、状況が変化した場合は直ちに飛行を中止する。
わたしは自分の足元でドローンを離陸させています。離陸時は不安定なので、離れたほうが良いですね。
事例では、ズボンを履いていたと思いますが右足膝を裂傷です。農業用ドローンの危険性がわかります。
No.7 バッテリー低下で自動帰還、水上に不時着
マルチコプター、プロペラ除く直径約17cm、最大離陸重量約0.4kg
- 趣味のため無人航空機を飛行させていたところ、自動帰還機能作動中に突如機体が制御不能となり墜落した。
- 本件事案による人の負傷及び第三者の物件の被害はなかった。
なお、操縦者の操縦経験は28時間以上。
【原因分析】
バッテリー残量が想定より早く消費したため、予期しない自動帰還機能の作動によって、水上に不時着したものと考えられる。
【是正措置】
飛行前のバッテリーの残量確認を徹底するとともにバッテリー残量に注視して飛行させる。
バッテリー低下による自動帰還の墜落が増えています。
- 自動帰還の高度設定が低くて衝突、墜落
- バッテリー切れで自動帰還中に不時着
特に多いのは、向かい風で予想以上にバッテリーを消費したケースです。
自動帰還を発動させるような状況を作ってはいけません。
No.25 山林が電波遮蔽物に、通信ロスト紛失
マルチコプター、プロペラ除く直径約40cm、最大離陸重量約1.5kg
- 施設点検のため無人航空機を飛行させていたところ、突如機体が制御不能となり紛失した。
- 本件事案による人の負傷及び第三者の物件の被害はなかった。
なお、操縦者の操縦経験は50時間以上。
【原因分析】
飛行経路上の山林が電波の遮蔽物となり、通信環境を悪化させたものと考えられる。
【是正措置】
通信距離、飛行可能時間等にゆとりを持ち、周囲の地形等も十分に考慮した飛行計画を立案する。
ドローンは2.4GHz帯の電波を使用しています。Wi-FiやBluetoothと同じ電波なので、電波干渉を受けやすい欠点があります。
垂直の建物が多い場所では、障害物が電波を跳ね返してしまうことで電波障害が発生します。高層ビルや山林は要注意です。
山の裏側にいくと、電波が反射できずに通信ロストします。
送信機の画面がカクカクしたり、ノイズが入ったら危険信号です。
No.32 低高度飛行で通信環境悪化、川に墜落
マルチコプター、プロペラ除く直径約21cm、最大離陸重量約0.48kg
- 空撮のため無人航空機を飛行させていたところ、送信機モニターの画像が乱れ川に墜落した。
- 本件事案による人の負傷及び第三者の物件の被害はなかった。
なお、操縦者の操縦経験は20時間以上。
【原因分析】
機体の点検不足、電波干渉や低高度飛行等が墜落に至った要因と考えられる。
【是正措置】
機体の綿密な点検を徹底するとともに、低高度等の飛行は行わない。
水面ギリギリの飛行により、電波が水面で乱反射して通信環境が悪化したことが予想できます。(マルチパス現象)
誰もがやってみたい空撮ですが、水面に限らず低高度の飛行はやめておきましょう。
No.47 自動着陸中に誤作動、操縦者と補助者に接触
マルチコプター、プロペラ除く直径約122cm、最大離陸重量約15.5kg
- 試験飛行のため無人航空機を飛行させていたところ、着陸時、降着装置が誤作動したため、姿勢を崩し、無人航空機が飛行させる者と補助者に接触した。飛行させる者と補助者は裂傷及び打撲を負った。
- 本件事案による第三者の物件の被害はなかった。
なお、操縦者の操縦経験は10時間以上。
【原因分析】
着陸時に無人航空機の降着装置が誤作動し、機体の姿勢が不安定になったものと考えられる。
【是正措置】
無人航空機の可動部分の定期点検を徹底するとともに、関係者から十分な距離を保って飛行させる。
離着陸時はどうしても機体に近づいてしまいます。離れている人の方が珍しいのではないでしょうか?
事例では、操縦者と補助者が負傷しています。まるで意思を持っているみたいです…
No.53 機体を見失い、海上に墜落
マルチコプター、プロペラ除く直径約40cm、最大離陸重量約0.82kg
- 趣味のため無人航空機を飛行させていたところ、機体を見失い海上に墜落した。
- 本件事案による人の負傷及び第三者の物件の被害はなかった。
なお、操縦者の操縦経験は25時間以上。
【原因分析】
現在確認中
【是正措置】
現在検討中
意外と多いのが機体を見失い紛失です。
送信機の画面を見れば場所がわかりそうですが、海上や山林などでは同じような景色なので注意が必要です。
焦っているうちにバッテリーが低下し、自動帰還中に墜落…
送信機のGPS画面の見方も練習しておきましょう。
No.61 送電線付近で飛行、電波障害で墜落
マルチコプター、プロペラ除く直径約40cm、最大離陸重量約1.5kg
- 無人航空機を飛行させていたところ、通信状態が不安定となり制御不能となって送電線に接触し墜落した。
- 本件事案による人の負傷及び第三者の物件の被害はなかった。
なお、操縦者の操縦経験は31時間以上。
【原因分析】
操縦者の現場状況に対する認識不足と考えられる。
【是正措置】
飛行させる者を中心に安全確認会議を実施する。
送電線や携帯電話基地局からの電波干渉で墜落するケースがあります。
30m以上離れれば良いことになっていますが、電線や鉄塔があるところには近づいてはいけません。
No.66 風に煽られ墜落、バッテリーから発火し延焼
飛行機、全長約1.2m、全幅約2.2m、最大離陸重量約1.9kg
- 趣味のため無人航空機を飛行させていたところ、離陸直後に風に煽られ墜落した。墜落後、バッテリーが発火し周囲に延焼した。
- 本件事案による人の負傷及び第三者の物件の被害はなかった。
なお、操縦者の操縦経験は10時間以上。
【原因分析】
- 手投げにより発航した直後に風に煽られ機体の姿勢が不安定になったものと考えられる。
- また、延焼に至った要因として、バッテリーの取り付け状態が不十分であったものと考えられる。
【是正措置】
飛行前後にバッテリーの取り付け状態の確認を徹底する。
ドローンのバッテリーはとても熱くなります。
スマホ充電用のモバイルバッテリーが30分で空っぽになる、と考えれば納得するでしょう。
バッテリーの装着は確実に行い、ふくらんできたりしたらケチらずに交換しましょう。
山火事や民家の火事につながったら後悔もできません…
No.71 急減速でプロペラが外れて墜落
マルチコプター、プロペラ除く直径約38cm、最大離陸重量約0.5kg
- 試験飛行のため無人航空機を飛行させていたところ、突如制御不能となり墜落した。
- 本件事案による人の負傷及び第三者の物件の被害はなかった。
なお、操縦者の操縦経験は13時間以上。
【原因分析】
飛行中の急減速によりプロペラに負荷が生じて脱落したものと考えられる。
【是正措置】
プロペラに脱落防止対策を施すとともに、急減速等の急激な操作は行わない。
ドローンを全速力で飛ばしたことはありませんが、すこしスティックを倒すだけでかなりのスピードがでますよね。
見づらい動画にもなるし、撮影していなくても急な操作はNGです。
プロペラのネジも定期的に確認しましょう。
No.75 上空は強風、自動帰還できずに紛失
マルチコプター、全長約65cm、最大離陸重量約3.0kg
- 展示飛行のため無人航空機を飛行させていたところ、突如制御不能となり紛失した。
- 本件事案による人の負傷及び第三者の物件の被害はなかった。
なお、操縦者の操縦経験は27時間以上。
【原因分析】
上空は地上よりも強い風が吹いていたため、自動帰還できず風に流されたものと考えられる。
【是正措置】
無人航空機にリールタイプの暴走防止装置を取り付けて飛行させるとともに、飛行前に気象状況の確認を徹底する。
ちょっと風が強いけど…わざわざ車を走らせて現場まで来たから飛ばしたい…!
上空の風は地上より強く吹きます。ドローンの墜落原因の多くは強風です。
勉強のために強風の中で飛ばすのもアリです。(ほどほどの風、低高度で)
事故の原因
事故の直接的な原因 | 件数 |
---|---|
操縦ミスによる接触 | 32 |
通信ロスト | 16 |
天候不良(風、砂など) | 12 |
制御不能 | 6 |
バッテリー低下 | 4 |
整備不良 | 4 |
機体のトラブル | 2 |
航空機(ヘリなど)との接近 | 1 |
その他 | 1 |
不明 | 1 |
次の3点に気をつければ多くの事故を防ぐことができます。
- 操縦ミス
- 通信環境
- 天候(主に風)
操縦ミスを防止するためには、ドローンの飛行練習が効果的です。
旋回や8の字などの基本操作を身につけてから空撮に挑みましょう。
いきなり山・川・海で飛ばすと墜落します。
まとめ
この記事では、平成30年度(2018)の報告書からドローンの事故やトラブルを紹介しました。
避けようのない事故にも見えますが、どこかにサインがあるはずです。ちいさな違和感を大切にしてください。
ドローンはおもちゃではなく航空機
すこしでもドローンの怖さが伝わればなによりです。
ありがとうございました!