【ドローン事故・トラブル集】国土交通省の報告書から学ぶ|ドローン保険は必須!
- どんなドローン事故があるの?
- ドローンを飛ばすのが心配…
ドローンをおもちゃ感覚で飛ばしていると悲惨な事故につながります。ドローンの事故やトラブルを知れば、あなたの操縦も変わるはずです。
- ドローンの事故・トラブル集を紹介
- 事故・トラブルから学べること
- これからドローンをはじめる、はじめたばかり
- ドローンの怖さを知らない
ドローンで自分と相手の人生を壊す前に
わたしはフライト歴4回のドローン初心者です。
わたしの師匠は6年間でドローンを4回ほど墜落させています。誰もが一度はドローンを墜落させると覚悟するべきでしょう。
そこで、あなたに伝えたいのは次の言葉です。
ドローンはおもちゃではなく航空機
※正確には無人航空機
わたしが所有しているDJI Mini 4 Proは約300gです。機体を持ったときに次のようなことを思いました。
軽っ!おもちゃじゃん!
これで17万円かよ!
しかし、約300gといえばマグカップと同じ重さです。上空150mからマグカップが落ちてきたらどうなるでしょうか?
家や車に当たれば確実に破損するし、人に当たれば命が失くなってもおかしくありません。
そうならないためにも、過去の事故やトラブルから怖さを知ることが大切です。ドローンで自分や相手の人生を壊してしまったひとからのメッセージをムダにしてはいけません。
ドローンの事故・トラブル集(国土交通省)
ドローンの事故やインシデントを発生させたときは、国土交通省に報告しなくてはいけません。
事故が発生するおそれのある状態のこと
事故・トラブル集を調べたところ、2015年から2023年までの記録を見つけることができました。
しかし、実際に報告しているのは、一部の企業か、報告せざるを得なかった事故に発展してしまったときだけでしょう。
1件の重大事故の背後には、重大事故の一歩手前や、たくさんのヒヤリハットが隠れています。(ハインリッヒの法則、1:29:300の法則)
この記事では、特に大きな事故や、印象に残った事例を紹介します。
目視外飛行で墜落、機体から発火、草むらが焼失
2017/3/25
マルチコプター、プロペラ除く直径約20cm、最大離陸重量約0.5kg
目視外飛行の訓練を行っていたところ、自ら設置した訓練用障害物に接触し、墜落した。墜落後に機体から発火し、付近の草が焼失した。
本件事案による人の負傷及び物件の被害はなかった。
※なお、操縦者の操縦経験は300時間以上。
墜落の衝撃で部品の一部が破損し回路がショートし、発火したためと思われる。
無理な飛行は行わず、訓練により技術向上に努める。電子部品のさらなる固定及び保護のための部材の取り付けを行うとともに、飛行時は消火器等を用意する。
バッテリーのふくらみなど、劣化に気をつけましょう。
山火事や民家の火事につながることもあります。
雨の中飛行、電線に接触、走行する自動車に墜落
2017/7/5
マルチコプター、プロペラ除く直径約40cm、最大離陸重量約1.5kg
空撮のため無人航空機を飛行させていたところ、電線に接触・墜落し付近を走行する自動車に接触した。
本件事案により人の負傷及び電線の損傷はなかったが自動車が損傷した。
※なお、操縦者の操縦経験は10時間以上。
事故当日は小雨が降っており、機体内への浸水による機能不良から操縦不能に陥ったものと考えられる。
ドローン飛行前に天候状況を確認する。悪天候下のドローン飛行を行わない。
ドローンはモーターがむき出しのため、雨・霧・砂はNGです。
操作モード変更でパニック墜落、救急搬送で右手親指を数針縫う
マルチコプター、プロペラ除く直径約50cm、最大離陸重量約3.0kg
橋梁点検の実証試験のため無人航空機を飛行させていたところ、突然操縦不能となり関係者に接触した。当該人は救急搬送され、右手親指を数針縫う負傷を負った。
本事案による物件への損傷はなかった。 ※なお、操縦者の操縦経験は148時間以上。
飛行制御プロポの操作モードが、操縦士の意図に反して突然変更されたため、モード変更に気が付かない操縦士が操縦不能(混乱)に陥った。
始業点検の時にプロポのモードを設定して、一旦通常電源終了する。これにより、例え異常(非定常)終了しても、モードが変わることはない。
ほかの人がモード設定を変えてそのままだったのかもしれません。
軽くウォーミングアップをしてから本飛行しようと思います。
イベントで墜落、観客6名が救急搬送、3名が軽傷
マルチコプター、プロペラ除く直径約70cm、最大離陸重量約2.6kg
岐阜県大垣市で開催中のイベントの一環として行われたドローン菓子撒きのために飛行中の無人航空機がバランスを崩して落下し観客を負傷させた。
本事案により6名が救急搬送され、3名が軽傷を負った。
※なお、操縦者の操縦経験は260時間以上。
【原因分析】 現在確認中
【是正措置】 現在検討中
2.6kgのドローンの被害は大きいですね…
人口集中地区の上で飛ばしてはいけない理由がわかります。
電線に接触、切断
2021/4/18
空撮のため無人航空機を飛行させていたところ、電線に接触し切断させた。
本件事案による人の負傷はなかった。 なお、操縦者の操縦経験は10時間以上。
離陸地点の風速は飛行マニュアルの範囲内だったが、上空は風が強く機体が流され、また、帰還する際に向かい風であったことからバッテリーの消費が大きくなった。このことから、着陸場所付近でバッテリー残量が10%となり強制着陸モードが発動した。安全に着陸させようとし手動着陸に切り替えたが、操作を誤り電話の引き込み線に接触させた。
突発的な強風に対応できるよう技量の訓練行い、不測の事態でも落ち着いて対処できるようにする。 バッテリー残量に常に注意を払い、安全に帰還できる飛行距離を余裕を持って設定する。 万が一、バッテリー残量が少なく危険な状況になってしまった場合には、人や第三者の物件を傷つけずに着陸できる場所の候補をあらかじめ選定しておき、補助者と共有する。
風の中で飛ばすことの危険性とむずかしさがわかります。
電話線が切れたときの賠償はどうするのでしょうか…
バッテリー低下によるRTH(自動帰還)が動作、電線に衝突、右手指を負傷
2022/1/26
DJI社製 Mavic 2 Zoom
送電線下の樹木の調査のため無人航空機を飛行させていたところ、機体を帰還させようとした際、途中でバッテリー低下によるRTHが動作したことで機体操作が不能となり自社配電線に接触し、墜落した。墜落時に操縦者に接触し、右手指に軽傷を負った。
本件事案による第三者の物件の被害はなかった。
なお、操縦者の操縦経験は10時間以上。
【原因分析】 –
【是正措置】 –
RTH(Retern To Home)は自動帰還のことです。RTHの緊急停止はできないのでしょうか?
バッテリーの残量確認の重要性がわかります。
障害物センサーオフで着水、墜落
2022/3/21
DJI社製 MAVIC 3
湖の空撮のため無人航空機を飛行させていたところ、手元の画面をカメラ画像メインで飛行させなければならないにもかかわらず、マップ画面をメインに操作し、かつ、障害物センサーをオフにしていたため、下降操作の目測を誤り着水させ、紛失した。
本件事案による人の負傷及び第三者の物件の被害はなかった。
なお、操縦者の操縦経験は10時間以上。
【原因分析】 –
【是正措置】 –
気づいたらスポーツモードでセンサーがオフになっていた…ということが先日ありました。
目視だけでは限界があります。飛行経路の下調べも重要です。
飛行訓練中、自転車に乗った人に接触、顔面を負傷
令和5年1月13日 10時40分頃
DJI PHANTOM4
東京都大田区 / 同左
飛行訓練中、付近を走行していた自転車に乗った運転手に接触し、負傷させた。
事業者の敷地内であっても、道路に面している場所では飛行させず、余裕を持った離隔のある場所で飛行させる。またエリアを区別するため安全コーンや柵を設置する。 更に、補助者を立たせ、操作訓練範囲内への第3者進入を制限する。
自転車に人に当たると転倒することが予想できます。
高齢者は命に関わります…
制御不能、焦って機体に触れる、プロペラで指を欠損
令和5年6月5日 19時11分頃
DJI AGRAS T10
鹿児島県大島郡 / 同左
農薬散布のため無人航空機を離陸させようとしたところ、機体の姿勢が崩れ、予期しない動きを始め制御不能となったため、操縦者が第三者への危害を回避するために機体の電源を切ろうとした際、操縦者の指が回転中のプロペラに接触し負傷した。
右示指の皮膚欠損及び末節骨部分欠損
アーム折損、プロペラの損壊
1 飛行前の周知徹底イレギュラーが起きても冷静に対応出来るよう日頃から飛行前に、操縦者と補助者で飛行の強制終了のコマンドを確認する。
2 第三者立入制限の徹底関係者以外の第三者を守るため、立入禁止区画の設定を確実に行い、作業エリアを明確にすることを継続する。
3 緊急用の安全グッズの常備緊急時に機体を停止させる時、回転するプロペラから身を守るため、棒・ネットを常備して対応する。決して、生身(素手)では対応しない。
右手人差し指の第一関節から切断です。
農業用ドローン…指だけで済んだのがマシなくらいです…
DJI社のドローンなら1年間の「無料」付帯保険に入れる!
ドローンを飛ばす者の責任としてドローン保険に入るべきです。
- 人身傷害
- 自動車、家屋への墜落
- 電線への接触、切断
- バッテリーから発火
自動車を運転するなら絶対に保険に入りますね。同じ感覚で考えるべきです。
DJI社またはTello社の対象機種を購入した方には、1年間の保険が無料で付帯されます。
- 機体本体単独(エアークラフトのみ)での購入品ではない。※機体本体単品と送信機単品をあわせて購入した場合でも、機体本体単独購入とみなし、登録できません。
- 海外製のDJI製品、並行輸入品(国内販売店より購入した並行輸入品も含む)の購入ではない。また、登録者(被保険者)は日本国内に在住し、主な機体の使用場所は日本国内である。
- 中古品や譲渡品等、既に一度登録されている機体ではない。
- 修理・交換品ではない。
わたしは、新品でDJI Mini 4 Proコンボセットを購入したので無料付帯保険の対象でした!
自分から申請しないと保険は適用されないので、すぐに登録してください。
製造番号(シリアルナンバー)がわかればすぐに登録できます。
自動車保険の特約にドローン事故が含まれる保険会社もあるようです。
まとめ
この記事では、ドローンの事故・トラブル集の一部を紹介しました。
- 高速で回転するプロペラが目に当たったら失明します。
- 大型ドローンのプロペラであれば指が飛びます。
- 1kgの物体が落下してきたら命に関わります。
ドローンはおもちゃではなく、航空機です。
ドローンの怖さがすこしでも伝われば何よりです。
ありがとうございました!
資料:平成27年度〜令和4年度 無人航空機に係る事故等の一覧(国土交通省に報告のあったもの)