【ドローン事故から学ぶ】令和2年度 無人航空機に係る事故トラブル等の一覧(国土交通省)
- ドローンの事故を知りたい
- ドローンは墜落するの?
ドローンの事故やトラブルは国土交通省に報告されています。先輩たちが残してくれたメッセージをムダにしてはいけません。
- ドローンの事故・トラブルを紹介(国土交通省に報告のあったもの)
- 事例から学べることを考察
- ドローン初心者
- ドローンの怖さをまだ知らない
令和2年度(2020)無人航空機に係る事故トラブル等の一覧から紹介
ドローンの事故やインシデントを発生させたときは、国土交通省に報告しなくてはいけません。
事故が発生するおそれのある状態のこと
令和2年度の報告件数は71件ですが、実際に報告しているのはごく一部でしょう。
- 一部の優良企業
- 報告せざるを得なかった事故
- 心から後悔している
この記事では報告書の中から、怖い…驚いた…そんなことある?といった事例を紹介します。
※無人航空機には飛行機やヘリコプターも含まれます。ドローンと同じ無人航空機として参考にしてください。
資料:令和2年度 無人航空機に係る事故等の一覧(国土交通省に報告のあったもの)
No.15【高度の盲点】離陸・飛行ポイントの高度差
DJI製、PHANTOM 4
- 測量のために自動航行を実施したところ、隣接する斜面に生育する樹木に衝突した。
- 本件事案による人の負傷及び第三者の物件の被害はなかった。
- なお、操縦者の操縦経験は10時間以上。
【原因分析】
- 事前に機体の飛行経路を設定し自動航行を実施したが、設定航路が突出していた樹林に近かった。
- 離陸点より70mの高さで水平移動する設定としていたが、急勾配により、上流では地上と機体の高度差が40m程度となった。
- 機体が森林に近いことを察知したが、操縦者への連絡が間に合わなかった。
【是正措置】
- 飛行開始前に十分な現地確認を行う。勾配が急な河川上で飛行する場合は、上流部に離陸地点を設定する。
- また、機体を撮影高度まで上昇させ、周辺の地形・障害物より十分に高いことを確認する連絡には、トランシーバーを使用することとし、情報伝達を速やかに行うこととする。
離陸・飛行ポイントの高度差は盲点でした。
山など斜面のある場所を飛行するときは要注意です!
No.20 【強風】レバーを倒しすぎ、バランスを崩し紛失
DJI社製、PHANTOM 4 PRO
- 空撮のため無人航空機を飛行させていたところ機体が風に煽られ紛失した。
- 本件事案による人の負傷及び第三者の物件の被害はなかった。
- なお、操縦者の操縦経験は10時間以上。
【原因分析】
- 風のある中での飛行を行ったこと。
- ドローン操作の際、レバーを大きく倒し、機体のバランスが崩れた。
【是正措置】
風の吹く日には飛行を禁止する。慎重な操作を行う。
同じ風速でも、ホバリング中より高速移動中のほうが不安定です。
ほどほどのスピードで飛行しましょう。
No.21【樹木帯】通信ロスト、墜落
DJI製、MAVIC 2 PRO
- 空撮のため無人航空機を飛行させていたところ制御不能となり墜落紛失した。
- 本件事案による人の負傷及び第三者の物件の被害は不明。
- なお、操縦者の操縦経験は10時間以上。
【原因分析】
周囲に背の高い樹木が多く、電波が遮蔽されやすい環境であった。
【是正措置】
離陸前点検をより入念に行う。補助者を増員する。
GPSと送信機の電波はちがいます。
GPSが届いても、送信機の電波が届かないと意味がありません。
No.22【送電線】巡視作業中、電波受信不能
DJI MAVIC 2
- 架空送電線の巡視作業のため無人航空機空を飛行させていたところ、電波受信不能となり紛失した。
- 本件事案による人の負傷及び第三者の物件の被害はなかった。
- なお、操縦者の操縦経験は10時間以上。
【原因分析】
-
【是正措置】
-
送電線に近づいてはいけませんね…
No.23【自動帰還】送電線に接触、墜落
DJI Matrice200、V2
- 訓練のため無人航空機を飛行させていたところ、バッテリーが残量低下によりリターンホーム機能が働いたが、送電線に接触し川に墜落し紛失した。
- 本件事案による人の負傷はなかった。高圧電線の損傷は無し。
- なお、操縦者の操縦経験は10時間以上。
【原因分析】
-
【是正措置】
-
自動帰還が動作しないようなバッテリー計画が基本です。
自動帰還の高度設定もポイントです。
No.24【高度500m】バッテリー消費、墜落
DJI PHANTOM 4 PRO
- 調査のため無人航空機を飛行させていたところ、バッテリーが残量低下により海に墜落した。
- 本件事案による人の負傷はなかった。
- なお、操縦者の操縦経験は10時間以上。
【原因分析】
高度500mで飛行させていたため、通常の飛行時よりも大きな風圧抵抗が発し、機体を安定させるために通常の飛行時よりも多くのバッテリーを消費してしまった等の要因が考えられるが、正確な原因究明は不可能なため、高度500mの飛行時における複合的な要因で当該事案が発生したものと推測される。
【是正措置】
これまで国土交通省標準マニュアルを基にドローンの運用を行ってきたが、今後は業務実施に関して「無人航空機使用業務に関する社内マニュアル」を整備し、これに基づき、業務に当たる。
高度500m…どう考えてもムリです。
上空の風はわかりませんし、ヘリコプターなどと接触する危険性もあります。
No.26【太陽光】機体を見失う、操作を誤り墜落
DJI製、Mavic Pro
- 空撮のため無人航空機を飛行させていたところ、操作を誤り機体を見失い紛失させた。
- 本件事案による人の負傷及び第三者の物件の被害はなかった。
- なお、操縦者の操縦経験は10時間以上。
【原因分析】
- 機体が飛行予定範囲からはみ出した。補助者は操縦者の判断で配置しなかった。
- 太陽の反射光により機体を見失った。操作画面を注視していて無人航空機を見ていなかった。
【是正措置】
- 関係法令・飛行マニュアルを再確認する。飛行予定範囲及び関係各所への飛
行事前連絡の徹底。 - 必要数の補助者を配置する。
- 社内で再講習を実施。
ドローン飛行中は空を見上げることが多いので、帽子やサングラスを用意しましょう。
わたしはOWNDAYSの、メガネにつけられるサングラスを愛用しています。軽くておすすめです。
No.39【バンク角が強すぎ】プロペラの緩みで墜落
エアロセンス株式会社製、AS-VTX01
飛行試験のため無人航空機を飛行させていたところ、制御不能となり、バッテリー残量不足により機体が不時着した。
【原因分析】
- 旋回時のバンク角が大きすぎたため、高度低下し機体のバランスが崩れた。
- プロペラナットが緩んでおり正常にプロペラが回転せず、帰還ができなかった。
【是正措置】
- バンク角に制限を設け、飛行速度にあったバンク角で旋回をする。
- 逆ネジナットを使用することで、プロペラ回転時にナットが閉まる方向に力が加わるようにする。
スティックを最大限に倒す必要はありません。
プロペラのネジは定期的に締めましょう。
No.42【電話線切断】農薬散布中の墜落
ヤンマーヘリ&アグリ株式会社製、YF390
- 農薬散布のため無人航空機を飛行させていたところ、電話線に接触、切断させ、機体がその場で墜落した。
- 本件事案による人の負傷はなかった。
- なお、操縦者の操縦経験は10時間以上。
【原因分析】
- 危険箇所の事前確認不足。
- オペレーターとナビゲーターの連携ミス。
【是正措置】
- 事前の危険箇所の確認の徹底、危険箇所への目印の設置。
- オペレーターとナビゲーターの連携強化。
農薬散布中に電線に接触する事故が多く報告されています。
農業用ドローンは凶器です。見かけたら逃げてください…
No.63【海での自動帰還】バッテリーが急激に低下、墜落
DJI社製、PHANTOM 4 PRO V2.0
- 空撮のため無人航空機を飛行させていたところ、帰還操作中に急激にバッテリーが低下し操作不能になり海上に落下した。
- 本件事案による人の負傷及び第三者の物件の被害はなかった。
- なお、操縦者の操縦経験は10時間以上。
【原因分析】
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【是正措置】
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スマホは残量5%でもOKですが、ドローンは違います。
30%くらいから一気に減ります。
No.65【突風】機体を受け止め手を負傷
DJI社製、PHANTOM 4 PRO+ V2.0
- カワウの生息状況調査のため無人航空機を飛行させていたところ、突風により墜落しそうになった機体を操縦者が受け止めようとし、手を負傷した。
- 本件事案による第三者の物件の被害はなかった。
- なお、操縦者の操縦経験は10時間以上。
【原因分析】
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【是正措置】
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高額なドローンが落ちてきたら手を差しのばすのは当然ですよね…
せめて…手袋をしましょう。
No.68【バードストライク】プロペラが折れて墜落
DJI社製、PHANTOM 4 PRO V2.0
- 空撮業務のため無人航空機を飛行させていたところ、飛行中に機体が回転し始め墜落し車両を損傷させた。
- 本件事案による人の負傷はなかった。
- なお、操縦者の操縦経験は10時間以上。
【原因分析】
鳥の急接近に対応が間に合わず、ドローンと接触し羽が折れ墜落となった。
【是正措置】
チェック項目に、周辺環境の確認を追加飛行中に異常や周囲の状況で危険を感じた場合には、直ちに操縦者へ報告し、安全な場所へ着陸させる又は、その場で急上昇等の操作を行い危険を回避する。
鳥との接触はどうしようもないですね…
過去には山岳地帯でハヤブサに撃墜された事案もありました。
接近したときは刺激しないように気をつけましょう。
事故の原因
事故の直接的な原因 | 件数 |
---|---|
操縦ミスによる接触 | 38 |
通信ロスト | 13 |
天候不良(風、砂など) | 9 |
機体のトラブル | 4 |
制御不能 | 3 |
バッテリー低下 | 3 |
鳥など外的要因 | 1 |
次の3点に気をつければ多くの事故を防ぐことができます。
- 操縦
- 通信
- 天候
操縦ミスを防止するためには、ドローンの飛行練習が効果的です。
旋回や8の字などの基本操作を身につけてから空撮に挑みましょう。
いきなり山・川・海で飛ばすと墜落します。
まとめ
この記事では、令和2年度(2020)の報告書からドローンの事故やトラブルを紹介しました。
避けようのない事故にも見えますが、どこかにサインがあるはずです。ちいさな違和感を大切にしてください。
ドローンはおもちゃではなく航空機です。
すこしでもドローンの怖さが伝わればなによりです。
ありがとうございました!